包皮炎は自然に治るもの?放置の危険性と適切な対処法を解説|MSクリニック横浜
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包皮炎は自然に治るもの?放置の危険性と適切な対処法を解説

  • 更新日:2025.06.24
  • 投稿日:2025.06.24
包皮炎は自然に治るもの?放置の危険性と適切な対処法を解説

包皮炎は男性特有の疾患で、かゆみや痛み、腫れなどの不快な症状を引き起こすことがあります。軽度であれば自然治癒の可能性もありますが、放置すると細菌感染の悪化や尿路感染などの重篤な合併症を引き起こすリスクもあります。

この記事では、包皮炎の症状や自然に治る包皮炎と治らない包皮炎の特徴、セルフケアについてわかりやすく解説します。知らないうちにリスクを抱えていることもあるため、包皮炎に対する正しい知識を学んで、健康な毎日を守りましょう。

当院では、包皮のかゆみや痛みなどにお悩みの方の相談も受け付けています。無料の診察カウンセリングを行っておりますので、一人で抱え込まずにまずはご相談ください。
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包皮炎とは亀頭と包皮に炎症が起こること

包皮炎は、男性器の先端である亀頭と、亀頭を覆う包皮に炎症が生じる病気です。「亀頭包皮炎」と表記することもあります。思春期を迎えるまでは、多くの場合は包皮が亀頭を覆った状態ですが、成長とともに包皮が剥け、亀頭を露出できるようになります。包皮炎の原因は以下のとおりです。

  • 細菌や真菌(カビ)の感染
  • アレルギー反応
  • 不適切な衛生状態

2022年にヨーロッパで、包皮炎の原因と治療をまとめたガイドラインを発表しました。包皮炎は感染症や皮膚疾患、前がん状態(がんの前ぶれ)などさまざまな原因が考えられています。研究により、A群β溶血性連鎖球菌による感染症や皮膚疾患である硬化性苔癬(こうかせいたいせん)の治療法が見直されました。

包皮炎になると、亀頭と包皮が赤く腫れ上がり、かゆみや痛みを伴います。症状が進行すると、膿(うみ)が出たり、排尿時に激痛を感じたりすることもあります。包皮炎は単純な炎症だけでなく、他の病気が隠れている可能性も否定できません。梅毒やヘルペスといった性感染症も、亀頭に炎症を起こすことがあります。

自然に治る包皮炎・治らない包皮炎の特徴

自然に治る包皮炎・治らない包皮炎の特徴について解説します。

  • 自然に治る包皮炎
  • 自然に治らない包皮炎

自然に治る包皮炎

清潔を怠ったり、性行為後のケアが不十分だったりすると、亀頭や包皮に細菌が繁殖しやすくなり、軽度の炎症が起こることがあります。軽度の包皮炎は、原因を取り除くことで自然治癒が期待できます。自然に治癒する可能性のある包皮炎の特徴は、以下のとおりです。

  • 軽度の赤みや腫れ、かゆみがある
  • 痛みは少ない、もしくは全くない
  • 膿は出ていない
  • 発熱などの全身症状はない

症状が見られる場合は、清潔を心がけて様子を見ましょう。多くの場合、数日〜2週間程度で症状の改善が期待できます。2週間以上経っても症状が改善しない場合は、他の原因が考えられるため、医療機関を受診することが推奨されます。

自然に治らない包皮炎

カンジダ菌などの真菌感染やクラミジア、淋菌(りんきん)などの性感染症が原因となる包皮炎は、自然治癒は困難です。細菌感染が重症化している場合も自然治癒は難しい場合があります。自然に治らない包皮炎の特徴として、以下の症状が挙げられます。

  • 強い痛みやかゆみがある
  • 亀頭全体が赤く腫れ上がっている
  • 膿が出ている
  • 白いカスが付着している
  • 発熱などの全身症状がある
  • 2週間以上症状が続く

カンジダ菌が原因の包皮炎は、亀頭や包皮に白いカスが付着することがあります。性感染症が原因の場合は、排尿痛や尿道からの分泌物などの症状が起こる可能性もあります。細菌感染が重症化すると、皮膚の深部にまで炎症が広がり、敗血症(はいけつしょう)という命に関わる状態に進行する恐れもあります。

包皮炎を放置するリスク

包皮炎を放置することで起こるリスクについて、以下の2つを解説します。

  • 包皮炎の慢性化
  • 感染症のリスク

包皮炎の慢性化

包皮炎を放置すると炎症が長引いて慢性化し、包皮が硬くなることがあります。瘢痕(はんこん)と呼ばれる組織の変化によるもので、傷が治る過程で線維が増えて硬くなる現象です。慢性化すると、排尿時に痛みを感じたり、尿の流れが悪くなったりする可能性があります。

包皮炎を繰り返すことで包皮が狭窄し、真性包茎の状態になることもあります。真性包茎とは、包皮が亀頭に被ったまま剥けない状態を指します。思春期以前は包茎の状態であることが多いですが、成長とともに自然に剥けていきます。

慢性化した包皮炎は治療が難しく、完治するまでに時間がかかる場合があります。場合によっては包皮切開術(背面切開術)包皮環状切除術といった手術が必要になるため、早期に適切な治療を受けることが大切です。

以下の記事では、真性包茎の原因や症状、放置した場合のリスクについて詳しく解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
>>真性包茎の原因とは?症状やメカニズム、放置が危険な理由を解説

感染症のリスク

包皮炎を放置すると、細菌感染が広がり、他の感染症を引き起こすリスクがあります。蜂窩織炎(ほうかしきえん)は、皮膚の深い部分に細菌感染が広がることで起こる炎症です。皮下組織にまで炎症が広がるため、赤みや腫れ、熱感、強い痛み、発熱などの全身症状を伴うこともあります。重症化すると入院が必要となる場合もあります。

蜂窩織炎などの感染症を放置すると、細菌が血管に入り込み、敗血症へと進行する可能性があります。敗血症は多臓器不全を引き起こし、死に至ることもあるため、迅速な治療が不可欠です。

以下の記事では、包皮炎がなかなか治らない原因や、効果が期待できる治療法、再発を防ぐためのセルフケアや予防策について詳しく解説しています。繰り返す症状にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
>>包皮炎が治らない原因とは?効果が期待できる治療法と再発防止策を解説

包皮炎の対処法

包皮炎の対処法について、以下の3つのポイントを解説します。

  • 丁寧に洗う
  • 抗菌外用薬を使う
  • 内服薬を飲む

丁寧に洗う

強くこすったり、刺激の強い石鹸やボディーソープを使ったりすると、皮膚のバリア機能が低下し、細菌が入りやすくなる可能性があります。適切な洗い方のポイントは以下のとおりです。

  • ぬるま湯で優しく洗う
  • 石鹸やボディーソープは低刺激のものを使う
  • すすぎはしっかりと行う
  • 乾燥させる

抗菌外用薬を使う

市販薬に、包皮炎の症状を和らげる抗菌外用薬があります。抗菌外用薬は、炎症の原因となる細菌の増殖を抑える可能性があります。すべての包皮炎に抗菌外用薬が有効とは限りません。真菌が原因の包皮炎の場合、抗菌外用薬は効果がなく、抗真菌薬が必要になります。

アレルギー反応や接触性皮膚炎などが原因の包皮炎の場合は、抗菌外用薬は症状を悪化させる可能性があります。抗菌外用薬を選ぶポイントと使い方は以下のとおりです。

  • 購入前に薬剤師に相談する
  • 使用方法を守る
  • 症状が改善しない場合は医療機関を受診する

症状に合った抗菌外用薬を選ぶために、薬剤師に相談しましょう。自己判断で使用すると、症状が悪化したり、副作用が出たりする可能性があります。抗菌外用薬を使用する際は、説明書をよく読んで、用法や用量を守って使用しましょう。3日以上経っても症状が改善しない場合や、悪化する場合は、早めに医療機関を受診してください。

内服薬を飲む

細菌感染が原因の包皮炎の場合、医師から抗生物質などの内服薬が処方されることがあります。内服薬は、体の中から細菌に働きかけて、炎症を抑える効果が期待できます。内服薬の種類は、原因となる細菌の種類や、症状の重さによって異なります。医師は、患者さんの症状や体質などを考慮して、適切な薬剤を選択しています。

内服薬を自己判断で服用を中止したり、量を増やしたりすると、効果が得られず副作用のリスクも高まります。薬剤耐性菌の出現を防ぐためにも、医師の指示通りに服用することが重要です。

陰茎・包皮の正しいセルフケア

陰茎・包皮の正しいセルフケアについて、以下の3つを解説します。

  • 正しく洗う
  • しっかり乾燥させる
  • 肥満や糖尿病を管理する

正しく洗う

陰茎や包皮をゴシゴシこすったり、洗浄力の強い石鹸を使用したりすると、さらに炎症を起こしやすくなります。過剰な洗浄も包皮炎の一因となる可能性があります。正しい洗い方の手順は以下のとおりです。

  1. 自分の手を石鹸で丁寧に洗い、清潔な状態にする
  2. 包皮を優しく剥き、亀頭と包皮の間を丁寧に洗う
  3. 洗い終えたら、石鹸の成分が残らないように、ぬるま湯で十分にすすぐ

1日に1回、入浴時に洗うのがおすすめです。石鹸を使う場合は、低刺激性のものを選び、よく泡立ててから使用しましょう。洗いすぎは皮膚のバリア機能を弱め、炎症を起こしやすくなるため、朝晩など何度も洗う必要はありません。

しっかり乾燥させる

洗った後は、清潔なタオルで優しく水分を拭き取り、しっかりと乾燥させることが重要です。湿った状態が続くと、細菌や真菌が繁殖しやすくなります。包茎の方は包皮が亀頭を覆っているため、注意が必要です。無理に剥こうとせず、清潔な状態を保つように心がけましょう。

乾燥が不十分だと、細菌や真菌にとって絶好の繁殖場所となり、炎症が悪化する可能性があります。清潔なタオルを使用し、ゴシゴシこすらず、優しく押さえるように水分を拭き取りましょう。包茎の状態で悩んでいる場合は、医師に相談することをおすすめします。

肥満や糖尿病を管理する

肥満や糖尿病は、免疫機能を低下させ、感染症のリスクを高めます。傷の治りも遅くなるため、炎症が悪化しやすくなります。高血糖の状態が続くと、体内の水分が尿として排出されやすくなり、皮膚の乾燥につながります。乾燥した皮膚はバリア機能が低下し、細菌や真菌が侵入しやすくなります。

医師の指示に従って、適切な血糖コントロールを行いましょう。バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠を心がけ、健康的な生活習慣を維持することが大切です。健康的な生活習慣は、包皮炎の予防だけでなく、全身の健康維持にもつながります。

以下の記事では、糖尿病がED(勃起不全)や妊娠しにくさにどのように関係するか、原因や治療法とともに詳しく解説しています。糖尿病による影響が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
>>糖尿病だとEDのリスクは高い?妊娠しにくい?原因や症状、治療法を解説

医療機関を受診する目安

医療機関を受診する目安として以下の3つを解説します。

  • 赤みや痛みが3日以上続く
  • 排尿痛がある
  • 膿が出る

赤みや痛みが3日以上続く

包皮や亀頭の赤みや痛みが強くなってきたり、排尿時に痛みを感じたりする場合は、炎症が悪化している可能性があります。3日以上症状が続く場合は、自然治癒が難しい可能性があります。市販薬で様子を見ようとせず、早めに経験豊富な医師の診察を受けるようにしましょう。

排尿痛がある

包皮炎が進行すると、炎症が尿道口付近まで広がり、排尿時に痛みを生じることがあります。排尿時に少しでも痛みを感じた場合は、医療機関の診察を受けましょう。初期段階で適切な治療を開始することで、症状の悪化や慢性化を防ぐことができます。

膿が出る

包皮炎が重症化すると、包皮の先端から膿が出る場合があります。膿が出る場合、細菌感染が進行しているサインです。細菌は増殖する際に毒素を出し、周囲の組織を破壊します。破壊された組織や白血球、細菌の死骸が集まって膿となり体外へ排出されます。放置すると、感染が他の部位に広がるリスクが高くなります。

包皮が剥けた状態から戻らなくなるカントン包茎(パラフィモーシス)や、蜂窩織炎といった重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。膿が出現したら、早急に医療機関を受診し、適切な治療を開始することが重要です。

以下の記事では、カントン包茎の原因や症状、具体的な治療法とその後のケア方法について詳しく解説しています。症状が悪化する前に、正しい知識を身につけて対処することが大切です。
>>カントン包茎の治し方は?原因や症状、治療法とその後のケアも解説

まとめ

包皮炎は、放置すると重症化や合併症のリスクがあるため、早めの対応が大切です。軽度の炎症であれば清潔を保つことで自然治癒する可能性もあります。強い痛みやかゆみ、膿、発熱などの症状がある場合は、自己判断せず医療機関を受診することが大切です。

日常的に陰茎や包皮を清潔に保ち、正しいセルフケアを行うことが包皮炎の予防につながります。特に肥満や糖尿病は発症リスクを高めるため、生活習慣の見直しも重要です。包皮炎についての正しい知識を身につけ、症状が現れた場合は、経験豊富な医師の適切な診断と治療を受けましょう。

当院では、包皮炎に関するお悩みにも対応しています。診察カウンセリングを無料で行っておりますので、ご予約のうえご来院ください。
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参考文献

Sarah K Edwards, Christopher B Bunker, Eric M van der Snoek, Willem I van der Meijden. 2022 European guideline for the management of balanoposthitis. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 2023, 37, 6, p.1104-1117

ページ監修:総院長「葉山芳貴」紹介

葉山芳貴

総院長、医学博士 葉山芳貴

経歴

平成14年
聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年
大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年
大手美容形成外科 院長 就任
平成27年
メンズサポートクリニック開設
平成28年
メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年
医療法人清佑会 理事長 就任

資格

医師免許(医籍登録番号:453182)

保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)