【医師監修】包茎の原因とは?遺伝や生活習慣との関連性を徹底解説
- 更新日:2025.05.23
- 投稿日:2025.05.23

あなたは包茎でお悩みではありませんか?実は、日本人の成人男性の約60〜70%が包茎と言われています。遺伝や成長過程、衛生状態など、包茎の原因はさまざまです。包茎を放置すると性生活への影響や衛生状態の悪化、排尿困難などを引き起こす可能性があります。
この記事では、包茎の4つの原因や放置した場合のリスク、3つの治療法を解説します。自分に合った改善方法を見つけ、包茎の不安を解消することで、快適な生活を目指せます。
MSクリニック横浜では、仮性包茎をはじめとする男性の悩みに関するさまざまな治療を提供しています。診察は無料で行っていますので、お気軽にご相談ください。
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包茎の4つの原因
包茎の原因について、以下の4つを解説します。
- 遺伝
- 発達過程の個人差
- 不適切な衛生管理
- 慢性包皮炎・亀頭包皮炎後の瘢痕収縮
遺伝
包茎には遺伝的要素も関わっています。具体的には、包皮の出口部分である包皮輪が生まれつき狭い場合や、皮膚の弾力性を保つ線維が少ない体質の場合などです。
父親や兄弟に包茎の方がいると、遺伝的に包茎になりやすい傾向があるといわれています。包皮輪の狭さは、遺伝的に皮膚の伸縮性やコラーゲン線維の量などが影響していると考えられています。
発達過程の個人差
生まれたばかりの赤ちゃんはほとんどの場合、包皮が亀頭を覆っていて自然に剥けません。これを生理的包茎といいます。成長とともに包皮は徐々に剥けるようになり、多くの場合、思春期のホルモンの影響で自然に開口するようになります。
7歳頃までには約8割の子供で生理的包茎が改善されると言われています。しかし、発達過程には個人差があり、大人になっても包皮が剥けない場合もあります。思春期を迎えても包茎の状態が続く場合は、真性包茎や仮性包茎といった状態になっている可能性があります。
アメリカの研究によると、新生児包茎切除率の低下が見られ、包茎の男性が増加しています。適切なセルフケアの教育の必要性が高まっており、医療従事者には包茎ケアに関する知識の習得が求められています。特に小児においては、無理に包皮を引っ込めることで怪我や瘢痕(はんこん:皮膚の傷が治癒した後に残る線維性の組織)形成のリスクがあるため、注意が必要です。
以下の記事では、包茎の種類について、より詳しく解説しています。包茎の図もあるので、参考にしてみてください。
>>包茎の種類・包茎とは?
不適切な衛生管理
包皮の中に汚れが溜まると、炎症を起こしやすくなります。炎症を起こすと、包皮が硬くなって縮んでしまい、包茎の状態になってしまうことがあります。不適切な衛生管理を行うと、恥垢と呼ばれる白いカスが溜まりやすく、炎症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
炎症が慢性化すると、包皮が肥厚し、さらに剥けにくくなるという悪循環に陥ることがあります。適切な洗浄方法としては、石鹸をよく泡立てて優しく洗い、その後、しっかりとすすぐことが重要です。
慢性包皮炎・亀頭包皮炎後の瘢痕収縮(はんこんしゅうしゅく)
包皮や亀頭に炎症が慢性的に起こると、皮膚が傷つき、治癒する過程で瘢痕と呼ばれる線維性の硬い組織ができてしまいます。瘢痕が縮むことで、包皮が硬くなり、次第に剥くことが困難な状態になります。慢性包皮炎や亀頭包皮炎は、細菌や真菌、ウイルス感染などが原因です。
包茎の症状と放置のリスク
包茎を放置するとさまざまなリスクが生じる可能性があると言われているため、正しい知識を身につけることが大切です。包茎の症状と放置した場合のリスクについて、以下の4つを解説します。
- 痛みやかゆみ
- 性生活への影響
- 衛生状態の悪化
- 排尿困難
痛みやかゆみ
包皮の先が狭くなっていると、包皮と亀頭の間に恥垢と呼ばれる汚れが溜まりやすくなります。恥垢は細菌にとって格好の繁殖場所となり、炎症を引き起こす原因となります。結果、痛みやかゆみなどの不快な症状が現れることがあります。
特に、包皮口が狭く亀頭を全く露出できない「真性包茎」の場合、汚れが溜まりやすく炎症を起こしやすい状態です。手で包皮を剥くことができるものの、窮屈感がある「狭窄を伴う仮性包茎」や「カントン包茎」の場合でも、適切な衛生管理を行わないと炎症のリスクがあります。
2023年に発表されたヨーロッパのガイドラインでも、包皮炎のマネジメントについて言及されており、適切なケアの重要性が強調されています。
性生活への影響
包茎は性生活にもさまざまな影響を及ぼす可能性があります。包皮がスムーズに剥けないと、性交時に痛みを感じることがあります。
包皮の内側に炎症があると、性行為によって炎症が悪化したり、パートナーに感染症をうつしてしまったりするリスクも高まるため注意が必要です。包茎によって亀頭が刺激に慣れていない場合、性感の低下につながる可能性も指摘されています。
衛生状態の悪化
包茎によって包皮の内側に汚れが溜まりやすい状態は、衛生状態の悪化につながります。清潔に保つのが難しいため、細菌や真菌、場合によってはウイルスなどが繁殖しやすくなります。細菌やウイルスの増殖は、不快な臭いを発したり、感染症のリスクを高めたりする一因です。
感染を繰り返すと、包皮に瘢痕が生じ、さらに包茎が悪化するという悪循環に陥ることもあります。慢性的な炎症が続くと、包皮が肥厚して線維化が進行し、包皮の硬化によって伸縮性が低下します。結果、亀頭の露出がさらに困難になり、仮性包茎→カントン包茎→真性包茎の順に増悪するケースもあります。
排尿困難
真性包茎が重度の場合、排尿時に包皮が風船のように膨らむ「バルーニング現象」が起こることがあります。尿が包皮の先からスムーズに出ることができず、包皮の内側に溜まって、水風船の様に膨らんでしまう現象です。バルーニング現象は、排尿時の不快感だけでなく、尿路感染症のリスクも高めるため注意が必要です。
特に、乳幼児期に包皮炎とバルーニング現象が併発すると、排尿時に痛みを伴うため、排尿を我慢してしまうことがあります。バルーニング現象が続くと、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症を引き起こす可能性があるため、早期の対応が重要です。
包茎の治療法3選
包茎の主な治療法のメリットやデメリット、術後のケア方法について、以下のとおり解説します。
- 環状切開術:包皮先端の狭い部分を含めて余っている包皮を環状に切除する手術
- 背面切開術:包皮の狭い部分を広げて亀頭を露出させやすくする手術
- 薬物療法:症状の緩和を目的とした軟膏や外用薬の使用
環状切開術:包皮の細い部分を含めて余っている包皮を切除する手術
環状切開術は、包皮先端の狭い部分を含めて余っている包皮を環状に切除し、亀頭を露出させる手術です。包茎手術の中で最も一般的で、当院では基本料金99,000円(税込)からご案内しております。環状切開術のメリットについては、以下のとおりです。
- 費用が比較的安価
- 施術時間が短く、日帰りでの手術が可能
- 術後の回復が比較的早く、日常生活への復帰もスムーズ
環状切開術のデメリットは、以下のとおりです。
- 包皮の一部が切除されるため、見た目が変化する
- まれに出血や感染などの合併症が起こる可能性がある
- 縫合糸による異物反応が生じる可能性がある
術後は、医師の指示に従って適切なケアを行うことが重要です。手術部位の清潔を保ち、感染を防ぐために、抗生物質の軟膏を塗布したり、消毒液で洗浄したりします。激しい運動や性行為は一定期間控える必要があります。手術の治り具合には個人差がありますが、通常3週間前後で抜糸を行います。
以下の記事では、包茎の手術や治療、タイプや症状などについて網羅的に解説しています。包茎にお悩みのある方はぜひチェックしてみてください。
>>包茎のお悩み、包茎手術は男性専門泌尿器形成のMSクリニック横浜へ
背面切開術:包皮の狭い部分を広げて亀頭を露出させやすくする手術
背面切開術は、包皮の狭い部分を広げて、亀頭を露出させやすくなるように形成する手術です。包皮口を切開して拡張することで対応します。諸外国で行われている「割礼」も背面切開の1つです。背面切開術のメリットは、以下のとおりです。
- 亀頭の保護機能を維持できる
- 包皮を切除しないため、包皮の長さが短い方でも手術可能
- 縫合を必要としない場合がある
背面切開術のデメリットは、以下のとおりです。
- Dog-ear変形と呼ばれる円錐状の変形を残すことがある
- 術後の腫れや痛みが環状切開術より強いことがある
- 包皮の長さが変わらないので被り具合が変わらないこともある
背面切開術後も、手術部位のケアが重要です。医師の指示に従い、清潔を保ち、感染を防ぎましょう。術後の回復状況によって異なりますが、完治まで通常2~4週間程度です。
以下の記事では、切らない包茎手術の仕組みやメリット、従来の手術との違いについて詳しく解説しています。
>>切らない包茎手術とは?痛みなしで悩みを解消する方法
薬物療法:症状の緩和を目的とした軟膏や外用薬の使用
薬物療法は、包皮炎や亀頭炎などの炎症症状を緩和するために、ステロイド外用薬や抗真菌薬などの軟膏や外用薬を使用する方法です。重度の炎症や感染症の場合は、薬物療法と並行して包皮洗浄のケアを行う場合もあります。薬物療法のメリットは、以下のとおりです。
- 体への負担が少ない
- 手術に抵抗がある方でも始めやすい
- 炎症や感染症による痛みやかゆみを軽減できる
薬物療法のデメリットは、以下のとおりです。
- 包茎そのものを治す治療法ではない
- 薬の効果には個人差があり、必ずしも症状が改善するとは限らない
- 長期的な使用が必要となる場合がある
- ステロイド外用薬の長期使用は、皮膚の菲薄化や色素沈着などの副作用を引き起こす可能性がある
包茎のセルフケアにおいて、包皮を無理にむくことは避けるべきです。特に、7歳以下の子供の場合は、無理にむこうとすることで怪我や瘢痕形成のリスクが高まります。思春期を迎えるまでは、自然に包皮が剥けるのを待つことが推奨されています。
大人になっても包茎が改善しない場合は、医療機関を受診し、適切な指導を受けることが大切です。清潔を保つためには、石鹸をよく泡立てて優しく洗い、その後、しっかりとすすぐことが重要です。
包茎の治療法は、症状の程度や患者さんの希望によって選択されます。どの治療法が最適か、メリット・デメリットをよく理解したうえで、医師と相談しながら決定することが大切です。
まとめ
包茎の原因は遺伝や発達、衛生状態、炎症などさまざまです。症状としては痛みやかゆみ、性生活への影響、衛生状態の悪化、排尿困難などがあります。放置すると悪化する場合もあるため、早めの対応が重要です。治療法には、環状切開術や背面切開術、薬物療法などがあります。
それぞれの治療法のメリット・デメリットを理解し、医師と相談しながら最適な治療法を選びましょう。セルフケアでは、特に7歳以下の子供の場合、包皮を無理に引っ込めるのは避けましょう。大人になっても包茎が気になる場合は、医療機関に相談し、適切なケアを受けることが大切です。
あわせて、自分で包皮をむく場合の正しい方法や注意点を知っておくことで、痛みやトラブルを防ぐことができます。以下の記事では、包茎の正しい剥き方やセルフケアのポイント、避けるべき行動について詳しく解説しています。
>>包茎の正しい剥き方は?注意点や痛みを避けるためのポイント
参考文献
- Nadine Wodwaski, Kristen Munyan. Self-care promotion of the intact (non-circumcised) patient: A review of available recommendations. Journal of Specialists in Pediatric Nursing, 2020, 25(4), e12297.
- Sarah K Edwards, Christopher B Bunker, Eric M van der Snoek, Willem I van der Meijden. 2022 European guideline for the management of balanoposthitis. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 2023, 37(6), 1104-1117.
- 小貫大輔, 「仮性包茎なんて言葉はやめてしまえ」プロジェクト 身体の自律と保全に関する国際比較研究, 現代性教育研究ジャーナル, 日本性教育協会, 2019, 2.
ページ監修:総院長「葉山芳貴」紹介

総院長、医学博士 葉山芳貴
経歴
- 平成14年
- 聖マリアンナ医科大学 卒業
- 平成20年
- 大阪医科大学 大学院 卒業
- 平成22年
- 大手美容形成外科 院長 就任
- 平成27年
- メンズサポートクリニック開設
- 平成28年
- メンズサポートクリニック新宿 院長就任
- 平成28年
- 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)