カントン包茎の治し方は?原因や症状、治療法とその後のケアも解説|MSクリニック横浜
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カントン包茎の治し方は?原因や症状、治療法とその後のケアも解説

  • 更新日:2025.03.13
  • 投稿日:2025.01.29
カントン包茎の治し方は?原因や症状、治療法とその後のケアも解説

包茎でお悩みの方、特にカントン包茎に悩む男性は多いです。カントン包茎は、一見して普通の仮性包茎と区別がつきにくいため、症状に気づかないまま放置されるケースがあります。カントン包茎とは、勃起時に包皮が亀頭直下に嵌まり込んだ状態で、戻せなくなることもあるため適切な治療が必要です。

本記事では、カントン包茎の原因や症状、診断方法や手術療法などについて詳しく解説します。正しい知識を身につけることで、不安を解消し、適切な対応への第一歩を踏み出せます。一人で悩まず、まずは経験豊富な医師に相談し、自分に合った治療法を見つけましょう。

以下の記事では、包茎の手術や治療、タイプや症状などについて網羅的に解説しています。包茎にお悩みのある方はぜひチェックしてみてください。
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カントン包茎とは?他の包茎との違い

勃起時に包皮が亀頭直下に嵌まり込んだ状態を嵌頓と呼び、嵌頓を起こす包茎のことをカントン包茎と呼びます包茎にはカントン包茎以外にも2種類があり、特徴は以下のとおりです。

  • 仮性包茎:一見すると包皮が亀頭を覆っているように見えますが、手で簡単に剥ける包茎
  • 真性包茎:包皮の先端が狭くなっており、亀頭を全く露出できない状態

カントン包茎は亀頭を露出させることができるので、嵌頓を起こす仮性包茎と考えると理解しやすいでしょう。上記の違いを理解することは、自身の状態を正確に把握し、適切な治療法を選択するうえで重要です。カントン包茎は、他の包茎と比べて痛みや不快感を伴うことが多いため、早期の診断と治療が推奨されます。

以下の記事では、包茎の種類について、より詳しく解説しています。包茎の図もあるので、参考にしてみてください。
>>包茎の種類・包茎とは?

カントン包茎の原因と症状

カントン包茎の原因と症状は多岐にわたります。適切な治療を受けるためには、原因と症状を正確に理解することが重要です。カントン包茎の主な原因は包皮口の狭さです。原因には先天的な要因と後天的な要因があります。

先天的要因には以下のものが挙げられます。

  • 生まれつきの包皮口の狭さ
  • 包皮の弾力性の低下

後天的要因には以下が挙げられます。

  • 怪我や外傷による包皮口の狭窄
  • 包皮炎などの炎症による傷跡や瘢痕(はんこん)
  • 不適切な包皮の取り扱いによる損傷
  • 恥垢の蓄積による炎症や癒着

包皮と亀頭の癒着はカントン包茎の重要な原因の一つです。カントン包茎の症状は多様で、程度も個人差があります。主な症状は以下のとおりです。

  • 痛み:勃起時や性行為時に強い痛みを感じる。輪ゴムで陰茎をきつく縛られているような痛み
  • 血流障害:亀頭の腫れや紫色へ変色する。長時間放置すると組織の壊死のリスクがある
  • かゆみ:恥垢の蓄積による刺激で発生する。性器の炎症を引き起こす可能性がある
  • 排尿困難:包皮口が狭いため、尿の通り道が塞がれる。尿路感染症のリスクが高まる
  • 性交痛:勃起時の摩擦で痛みを感じる。性生活の質の低下につながる
  • 悪臭:恥垢の蓄積による。衛生状態の問題や心理的ストレスの原因となる

上記の症状は、個人によって発現の仕方や程度が異なります。一つでも当てはまる場合は、早めに経験豊富な医師の診察を受けることをおすすめします。適切な治療を受けることで、多くの場合、症状の改善や解消が期待できます。

カントン包茎の診断方法

カントン包茎の診断には、以下のような手順が用いられます。早期発見と治療が症状の悪化や合併症のリスクを防ぐために重要です。

問診

まず、医師が患者さんの症状や生活状況について詳しく聞き取ります。問診では、以下のような質問が行われることがあります。

  • 症状に気づいた時期
  • 痛みや不快感の程度
  • 日常生活や性生活への影響
  • 過去に包茎に関連する治療を受けた経験の有無

この段階で得られる情報は、診断の第一歩として非常に重要です。

視診

次に、医師が患部の状態を直接観察します。視診では、以下のポイントをチェックします。

  • 包皮の状態(炎症や変色の有無)
  • 包皮口の大きさ
  • 亀頭の露出状態

カントン包茎の特徴である「包皮口の狭さ」を確認します。

触診

必要に応じて、医師が患部に直接触れて詳しく評価します。触診では以下の点を確認します。

  • 包皮の硬さや弾力性
  • 亀頭との癒着の有無
  • 包皮口の柔軟性

触診は、視診だけでは判断が難しい状態を詳細に把握するために行われます。

補助検査

場合によっては、以下のような検査が追加されることがあります。

  • 尿検査:尿路感染症の有無を確認する
  • 血液検査: 炎症マーカーや感染症のスクリーニングを行う

カントン包茎の診断というよりも、合併症や関連疾患の確認を目的としています。早期発見・早期治療がカントン包茎の管理において重要です。症状が進行すると、治療が複雑になったり、合併症のリスクが高まったりする可能性があります。

カントン包茎の治し方と選択肢

カントン包茎は多くの男性に影響を与える症状で、適切な治療法の選択が重要です。カントン包茎の治し方と選択肢について、以下を解説します。

  • カントン包茎の手術療法(包皮切開術、包皮環状切除術)
  • カントン包茎の保存的療法

カントン包茎の手術療法(包皮切開術、包皮環状切除術)

カントン包茎の手術療法には、主に包皮切開術と包皮環状切除術の2種類があります。各手術方法の詳細を以下で説明します。

包皮切開術(背面切開術)

包皮切開術は、包皮の上側(背面)を縦に切開し、縫合することで包皮口を広げる手術です。手術の流れは以下のとおりです。

  1. 局所麻酔を施す
  2. 包皮の背面(上側)に縦の切開を入れる
  3. 切開部位を横方向に縫合し、包皮口を広げる
  4. 傷口を消毒し、包帯で保護する

メリットは以下のとおりです。

  • 施術時間が短い(通常30分程度)
  • 包皮の一部が残るため、感覚の変化が少ない

デメリットは以下のとおりです。

  • 再狭窄のリスクがある
  • 亀頭と包皮の癒着が強い場合には適さない
  • 完全な包茎解消ができない場合がある
  • 縫合部の両端にdog ear変形と呼ばれる皮膚の隆起が生じることがある

軽度から中等度のカントン包茎で、特に若年層(10代前半)の患者さんに適しています。

包皮環状切除術

包皮環状切除術は、ペニスの亀頭に近い部分の包皮を環状に切除し、亀頭を露出させる手術です。手術の流れは以下のとおりです。

  1. 局所麻酔を施す
  2. 包皮の内側と外側に環状の切開線を設定する
  3. 切開線に沿って包皮を切除する
  4. 残った包皮の端と端を縫合する
  5. 傷口を消毒し、包帯で保護する

メリットは以下のとおりです。

  • カントン包茎の根本的な治療法
  • 再発のリスクが低い
  • 衛生状態でのメリットがある(恥垢が溜まりにくい)
  • 性感染症のリスクが低下する可能性がある

再発のリスクは比較的低いとされていますが、詳細は医師にご相談ください。

デメリットは以下のとおりです。

  • 施術時間が長い(通常1時間程度)
  • 亀頭の感覚が一時的に過敏になる可能性がある
  • 包皮が完全に除去されるため、元の状態に戻すことはできない

中等度〜重度のカントン包茎、特に成人患者さんや炎症を繰り返す患者さんに適しています。

手術の選択

手術方法の選択は、以下の要因を考慮して行います。

  • 症状の重症度
  • 患者さんの年齢
  • 患者さんの希望(包皮の残存度合いなど)
  • 癒着の程度
  • 将来の再手術リスクの許容度

医療専門家との詳細な相談を通じて、個々の状況に最適な手術方法を選択することが重要です。

包皮切開術と包皮環状切除術は、それぞれ特徴があり、患者さんの状態や希望に応じて選択されます。ただし、すべての手術にはリスクが伴うため、十分な説明を受け、理解したうえで手術を受けることが重要です。

痛みのないカントン包茎手術をご希望の方は、当院の「カントン包茎(嵌頓包茎)について」をご確認ください。

カントン包茎の保存的療法

カントン包茎の保存的療法は、手術を行わずに症状の改善を図る方法です。主にステロイド軟膏療法と包皮拡張トレーニングがあります。2つの方法は、軽度のカントン包茎や手術を希望しない患者さんに適しています。

ステロイド軟膏療法

ステロイド軟膏療法は、炎症を抑え、包皮を柔軟にすることで症状の改善を図る非外科的治療法です。使用方法は以下の手順で行います。

  1. 医師の処方に従い、指定された強さのステロイド軟膏を使用する
  2. 1日1〜2回、包皮の内側に薄く塗布する
  3. 通常4〜8週間の使用で効果が現れる

メリットは以下のとおりです。

  • 非侵襲的で痛みがない
  • 自宅で実施できる
  • 費用が比較的安い
  • 小児患者さんに適している

デメリットは以下のとおりです。

  • 効果が現れるまでに時間がかかる(通常4〜8週間)
  • 完全な治癒が難しい場合がある
  • 長期使用による副作用のリスク(皮膚萎縮、色素沈着など)

効果の持続性については個人差があります。軽度のカントン包茎、特に小児患者さん(3歳以上)に適しています。成人でも軽度の症状であれば試みる価値がありますが、必ず医師の指導のもとで使用してください。

包皮拡張トレーニング

包皮拡張トレーニングは、定期的に包皮を優しく引っ張ることで、徐々に包皮口を広げる方法です。トレーニング方法は以下の手順で行います。

  1. 入浴時など、包皮が柔らかくなっているときに行う
  2. 包皮を亀頭の方向にゆっくりと引っ張る
  3. 痛みを感じない程度に10〜15秒間保持する
  4. 上記の流れをを1日2〜3回繰り返す

メリットは以下のとおりです。

  • 非侵襲的で費用がかからない
  • 自宅で実施できる
  • 副作用のリスクが低い
  • 包皮の感覚を維持できる

デメリットは以下のとおりです。

  • 効果が現れるまでに長期間(数か月〜1年以上)かかる
  • 毎日の継続が必要になる
  • 重度のカントン包茎には効果が限定的になりやすい

保存的療法は、軽度のカントン包茎の場合に有効な場合がありますが、根本的な解決にはならないことが多いです。効果が不十分な場合は、手術療法を検討する必要があります。

カントン包茎治療後のケア3つのポイント

カントン包茎治療後のケア3つのポイントは以下のとおりです。

  • 手術後の経過と注意点
  • 合併症のリスクと対策
  • 再発防止と日常生活への影響

上記のポイントを理解すれば、安心して手術に臨み、その後の回復過程をスムーズに進めることができます。

手術後の経過と注意点

手術後は、以下の症状が現れる可能性があります。通常一時的なものですが、適切な対処が重要です。

  • 痛み
  • 手術による組織損傷によるもの。対処法は医師の処方した鎮痛剤を服用する。鎮痛剤が効かない場合や日常生活に支障が出る強い痛みがあれば、速やかに医師に相談する。
  • 腫れ
  • 炎症反応により、リンパ液が溜まることで生じる。リンパ液は重力の影響を受けるため、亀頭側に溜まりやすい。リンパ液の貯留が顕著な場合は亀頭を上向きにすることで、リンパ液は重力に従って根本側に戻ってくる。 アイシングは凍傷のリスクがあるためおすすめしません。
  • 出血
    通常は数時間以内に止まる。持続的または大量の出血は医師に連絡する。
  • 感染
    症状として発熱や痛み、腫れや膿などがある。清潔保持、医師の指示に従った消毒を行うことで予防できる。注意点としてシャワーは24時間後から、湯船への入浴は医療機関によって方針が異なりますが、手術から1週間後に許可が出る施設もあれば、抜糸後に許可が出る施設もあります。

合併症のリスクと対策

カントン包茎手術は比較的安全ですが、以下の合併症に注意が必要です。

  • 感染症
    症状は発熱や発赤、腫脹や疼痛、膿などがある。治療法は抗生物質投与。適切な術後ケア、清潔保持で予防できる。
  • 出血
    術中・術後に発生する。通常は圧迫止血、重度の場合は再手術を行う。術前の血液検査で出血傾向を確認する。
  • 傷跡や瘢痕(はんこん)
    症状は手術跡の隆起や硬化などがある。必要に応じて形成外科的処置を行う。
  • 知覚変化
    一時的な知覚過敏または鈍化などがある。多くの場合、時間とともに改善する。

合併症防止と日常生活への影響

合併症を防止するためには日頃のセルフケアが重要です。合併症防止のためのセルフケアと日常生活への影響について解説します。再発防止のためのセルフケアは以下のとおりです。

  • 清潔保持:毎日の優しい洗浄、刺激の少ない石鹸使用
  • 乾燥:洗浄後の十分な乾燥
  • 刺激回避:刺激の強い製品の使用を避ける
  • 定期検診:医師による定期的な状態確認

日常生活への影響は以下のとおりです。

  • 性生活
    通常、術後4週間は控える。再開時は医師の指示に従い、痛みや出血に注意する。
  • 仕事
    ほとんどの職種で翌日から可能。手術部位が水に濡れるような職業の場合、1週間程度の休養が必要な場合もある。
  • 運動
    当初は激しい運動を控える。軽い運動は術後1週間程度から可能。
  • パートナーへの配慮
    手術後の状態や経過、性生活への影響を説明する。コミュニケーションを取ることで、不安やストレスの軽減、良好な関係維持につながる。

上記のポイントを押さえれば、カントン包茎手術後の回復をスムーズに進め、合併症のリスクを最小限に抑えることができます。個々の状況に応じて、医師の指示を守りながら、適切なケアを行うことが重要です。

まとめ

カントン包茎は適切な治療で改善が可能です。主な治療法は以下のとおりです。

  • 手術療法:包皮切開術や包皮環状切除術
  • 保存的療法:ステロイド軟膏や包皮拡張トレーニング

治療法の選択は、症状の程度や個人の希望によって異なります。手術後は適切なケアと定期的な検診が重要です。症状に気づいたら躊躇せず経験豊富な医師に相談することをおすすめします。正しい知識と適切な対応で、カントン包茎の悩みを解消し、より快適な生活を送ることができます。

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参考文献

Hayashi Y, Kojima Y, Mizuno K, Kohri K. Prepuce: phimosis, paraphimosis, and circumcision. The Scientific World Journal, 2011, 11, p. 289-301.

ページ監修:総院長「葉山芳貴」紹介

葉山芳貴

総院長、医学博士 葉山芳貴

経歴

平成14年
聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年
大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年
大手美容形成外科 院長 就任
平成27年
メンズサポートクリニック開設
平成28年
メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年
医療法人清佑会 理事長 就任

資格

医師免許(医籍登録番号:453182)

保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)