カントン包茎は自力で治せる?注意点と術後の痛みや合併症について
- 更新日:2025.01.30
- 投稿日:2025.01.29

カントン包茎に悩む方は少なくありませんが、痛みや不安を抱えたまま過ごしている方も多いのではないでしょうか。カントン包茎は、勃起時に包皮が亀頭直下に嵌まり込んだ状態になる包茎で、放置すると深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
本記事では、カントン包茎の原因や症状、自力での対処法や手術による治療法について解説します。正しい知識を身につけることで、適切な対処が可能になり、あなたの不安を解消する手助けとなります。
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カントン包茎とは勃起時に包皮が亀頭直下に嵌まり込んだ状態になる包茎
勃起時に包皮が亀頭直下に嵌まり込んだ状態を嵌頓と呼び、カントン包茎とは、嵌頓を起こす包茎を指します。カントン包茎の特徴や原因、症状を解説します。
カントン包茎の特徴
カントン包茎の特徴的な症状には以下があります。
- 亀頭の痛み
- 腫れ
- うっ血
初期段階では亀頭が赤く腫れ上がり、強い痛みを感じます。放置すると、血流が阻害され、亀頭はチアノーゼ色に変色します。尿道口も圧迫されるため、排尿困難になることもあります。尿が勢いよく出なくなり、あるいは全く出なくなることもあります。
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カントン包茎の原因と症状
カントン包茎の主な原因は大きく分けると「先天的な要因(生まれつき包皮口が狭い)」と「後天的な要因(炎症や外部からの強い刺激など)」の2つに分類できます。
先天的な要因
先天的な要因としては以下が挙げられます。
- 生まれたときから包皮口が極端に狭い
- 幼少期や思春期に「自然に剥けるのを待つ」段階を経ても、包皮の開口部が顕著に広がらないケースがある
後天的な要因
後天的な要因としては以下が挙げられます。
- 恥垢がたまったままの不衛生な状態で、強い摩擦や引っ張りを繰り返すことで、包皮炎を繰り返した結果、包皮口の皮膚が厚く硬くなり、包皮口が狭くなる
- 糖尿病の影響で包皮炎を繰り返しているうちに包皮口の皮膚が厚く硬くなり、包皮口が狭くなる
亀頭の色が紫色の「チアノーゼ」に変化している場合や、強烈な痛みが持続している場合は、すぐに医療機関を受診しなければならないサインです。少しでも異常を感じたら速やかに医師の診察を受けることが望まれます。
カントン包茎を自力で治す方法と注意点
カントン包茎は、適切な対処をしなければ亀頭が壊死する可能性もある危険な病態です。以下の3つの観点からカントン包茎の自力での改善方法と注意点を解説します。
- 自力で治す具体的な方法
- 自力で行う際の注意点
- 経験豊富な医師に相談すべきケースと理由
自力で治す具体的な方法
軽症例では、自己ケアとして以下の方法を試みることが推奨される場合があります。
包皮のストレッチ
カントン包茎の改善には、包皮を徐々に柔らかくするストレッチが有効です。
- 入浴時のストレッチ
40℃程度のぬるま湯に10分浸かり、包皮を柔らかくする。その後、清潔な手で優しく包皮を亀頭から引っ張る。一度に10秒程度、数回繰り返す。 - 日常的なストレッチ
リラックスした時間に、1回1〜2分間、包皮を優しく引っ張る習慣をつける。痛みを感じたら中断する。
外用薬の使用(保湿剤やステロイド剤を含む)
外用薬を用いたケアは、一部の軽症例で有効性が報告されています。外用薬を塗布することで、包皮を柔らかくできます。柔らかくなった皮膚が伸びることで、包皮口の細さを改善する効果が期待できます。
- 外用薬の入手方法:小児科や泌尿器科、皮膚科などで処方されます。
- 外用薬の使い方: 入浴後など、清潔な状態の包皮に、優しく外用薬を塗布する。説明書をよく読んで、用法・用量を守る。
外用薬は清潔な手で優しく塗布し、過剰使用やアレルギー反応には注意しましょう。不安がある場合は医師に相談してください。
自力で行う際の注意点
カントン包茎の治療を自力で行う際にはいくつかの注意点があります。
- 無理な力を加えない
無理に包皮を剥こうとすると、炎症や出血を招き悪化する - 清潔を保つ
常に包皮を清潔にし、感染症を予防する
上記に注意しながらセルフケアを行いましょう。
経験豊富な医師に相談すべきケースと理由
亀頭がチアノーゼ色に変色し、激しい痛みや腫れがある場合は即時受診が必要です。自己処置で効果がなく改善が見られない場合、経験豊富な医師による治療が推奨されます。
自力での改善は早期段階で効果が見込まれる場合に限られます。深刻な症状や不安がある場合は、自己判断せず経験豊富な医師に相談してください。
カントン包茎の手術について
カントン包茎の手術に関して以下の2点を解説します。
- 手術法の種類
- 手術の費用
手術法の種類
カントン包茎の手術には環状切開術と背面切開術の2つの方法があります。
環状切開術
包皮の形を整える手術で、包皮の一部を切り取ったり、縫い合わせたりすることで、包皮の長さや形を調整します。
- メリット: より自然な仕上がりが期待できるため、見た目の改善が図れる
- デメリット: 施術時間が長くなる傾向がある
形成手術は、軽度から重度まで幅広いカントン包茎に適しています。
背面切開術
包皮の先端部分を縦方向に切開する方法です。包皮の先端が狭くなっている場合、手術で開口部を広げ、亀頭の圧迫を取り除きます。
- メリット: 施術時間が短い(約30分)
- デメリット: 包皮の形が不自然になることがあるため、見た目に影響を与える可能性がある
環状切開術は軽度のカントン包茎に適しています。
手術の費用
手術の費用は、保険適用となる場合と自由診療となる場合があります。保険適用の場合は、亀頭の組織が壊死する危険性があるなど、医学的に手術が必要と判断された場合、健康保険が適用されます。3割負担の場合、手術費用は1〜3万円程度が目安です。
自由診療の場合は、審美的な目的や予防的な手術の場合は自由診療となり、費用はクリニックによって異なりますが、10〜40万円程度が相場です。
カントン包茎は、適切な手術を受けることで改善が期待できる症状です。早期の対応が亀頭の健康を守るために不可欠ですので、症状が気になる方は経験豊富な医師に相談することをおすすめします。
手術後の経過と合併症
手術後の経過と合併症について、以下を解説します。
- 術後の痛み
- ダウンタイム
- 手術後のリスクと合併症
- 手術後のケアと注意点
術後の痛み
カントン包茎の手術は局所麻酔下で行われ、手術中の痛みはほとんど感じません。包皮切開術を受けた患者さんの多くは、術後2~3日以内に鎮痛剤が不要となることが一般的です。
術後の痛みは手術の種類や個人差によりますが、多くの場合、市販の鎮痛剤で対処可能です。
ダウンタイム
手術後の日常生活への復帰までの期間は、以下のとおりです。
- シャワー
医療機関によって方針は異なりますが、24時間は手術部位を濡らさないようにする必要があります。48時間を過ぎれば手術部位を洗浄することを推奨するクリニックもあれば、術後4〜5日は濡らさないように防水処置を行なってシャワーを浴びることを推奨するクリニックもあります。 - 湯船
医療機関によって方針は異なりますが、術後1週間程度で湯船への入浴が許可されるクリニックもあれば、縫合糸がなくなるまで禁止しているクリニックもあります。 - お仕事
多くの職種で翌日より勤務可能です。水に濡れるような職種の場合は湯船への入浴禁止期間に準じた禁止期間が生じます。 - 運動
ウォーキングは翌日から可能で、ジョギングやランニングは痛みや腫れ、内出血が無ければ、軽めの負荷から開始して、徐々に負荷を増やして構いません。 - 性行為
抜糸を行った場合は術後1か月程度禁止です。吸収糸の場合は術後1か月を過ぎていて、かつ、糸が全て脱落した状態になるまで禁止です。
腫れや内出血は自然な経過の一部ですが、痛みが強く腫れが引かない場合は速やかに医師に相談してください。
手術後のリスクと合併症
カントン包茎の手術は、他の手術同様に合併症が発生する可能性があります。リスクと合併症を正しく理解し、適切に対応することが大切です。
主なリスクと頻度は以下のとおりです。
- 出血と感染症:術後の傷口からの出血や感染が起こることがある
- 肥厚性瘢痕:手術跡が硬く盛り上がり赤くなる
- その他のリスク:稀に過剰な包皮切除や亀頭の感覚鈍化が報告されている
適切なケアを行うことで、リスクをさらに軽減できます。
手術後のケアと注意点
術後ケアは、回復を促進し、合併症を防ぐために重要です。以下に具体的なケア方法と注意点を示します。
- 傷口の清潔保持
シャワーで毎日優しく傷口を洗い、清潔なガーゼや包帯で保護する。湯船への入浴は主治医の許可が出るまで控えること。 - 傷口の乾燥
シャワー後は、傷口を清潔なタオルで乾かす。濡れたまま放置すると感染リスクが高まる。 - 薬の使用
医師から処方された抗生物質や軟膏を指示通りに使用する。自己判断での中止は避ける。
激しい運動や性行為は、医師の許可が出るまでは控えてください。
カントン包茎に関してよくある質問
カントン包茎に関してよくある質問は以下のとおりです。
Q1. カントン包茎は自然に治りますか?
カントン包茎が自然に治癒することはありません。カントン包茎は、放置すると痛みや腫れが悪化し、最悪の場合は亀頭の組織の壊死(組織が死んでしまうこと)につながる恐れがあります。
血流が悪くなり、亀頭に栄養や酸素が届かなくなるため、早急に医療機関を受診することが重要です。
Q2.ストレッチを行う際の注意点はありますか?
カントン包茎の改善を目的としてストレッチを行う場合、適切な方法と注意点を守る必要があります。以下の流れで行いましょう。
- ストレッチはお風呂で温まった後に行う
- 40℃程度のぬるま湯に10分ほど浸かって包皮を柔らかくする
- 亀頭を傷つけないように優しく引っ張る
- 1回10秒程度を数回行い、毎日継続する
ストレッチを自己判断で過剰に行うと、逆効果となる場合もあるため注意が必要です。改善が見られない場合は、経験豊富な医師に相談しましょう。
まとめ
カントン包茎は、放置すると血流障害が進行し、亀頭の組織が壊死するリスクがある危険な病態です。カントン包茎は放置するとリスクが高まるため、早期の対処が重要です。軽症例ではストレッチや外用薬で改善が期待できますが、効果が見られない場合や症状が進行した場合は、速やかに医師へ相談しましょう。
当院ではカントン包茎をはじめ、仮性包茎や真性包茎などのお悩み相談も受け付けています。不安を感じている方は当院公式サイトをご確認ください。
参考文献
Rübben, H. Rübben. Phimosis. Urologe A, 2012, 51(7), p.1005-1016
ページ監修:総院長「葉山芳貴」紹介

総院長、医学博士 葉山芳貴
経歴
- 平成14年
- 聖マリアンナ医科大学 卒業
- 平成20年
- 大阪医科大学 大学院 卒業
- 平成22年
- 大手美容形成外科 院長 就任
- 平成27年
- メンズサポートクリニック開設
- 平成28年
- メンズサポートクリニック新宿 院長就任
- 平成28年
- 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)